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税理士事務所という仕事は、決して嫌いではなかった
私は税理士事務所に合計すると7年以上勤務しました。
その間、法人税や消費税、所得税の申告業務だけでなく、給与計算や年末調整など、さまざまな仕事を経験しました。お客様ごとに業種や経営状況が異なるため、毎回同じ仕事というわけではなく、数字を整理しながら会社の実態を読み取っていく作業には大きなやりがいを感じていました。
また、仕事と並行して簿記一級や税理士試験の勉強も続けていました。思うように結果が出ないこともありましたが、知識を深めること自体は好きでしたし、学んだことが実務につながる喜びもありました。
だからこそ、税理士事務所を辞めるという決断は、勢いで下したものではありません。仕事そのものが嫌だったわけではなく、自分のこれからの人生を考えた末の選択でした。
このまま10年後も同じ景色を見ているのだろうか
50代に入り、少しずつ将来のことを考える時間が増えました。
担当する業務は増え、経験も積み重なっていましたが、一方で、自分自身が新しく成長しているという実感を持ちにくくなっていました。
もちろん、賞与や待遇について考えることもありました。しかし、それ以上に気になっていたのは、「この先の自分は、どんな働き方をしているのだろう」ということでした。
このまま10年後も同じ景色を見ているのだろうか。
そんなことを考えるようになった頃から、以前から趣味でもあった株式投資や企業分析への興味が、仕事にもつながっていきました。企業の決算書を読むことが好きだった私は、一般企業の経理という仕事にも少しずつ関心を持つようになりました。
前の職場への不満というより、自分の人生をもう一度見つめ直した結果、新しい可能性を考え始めたのだと思います。
53歳での転職は、決して楽観視できるものではありませんでした。
年齢を考えれば、選択肢が限られていることも理解していました。そのため、私は「正社員」という形だけにこだわらず、「派遣」や「紹介予定派遣」という働き方も現実的な選択肢として受け入れることにしました。
年齢を理由に最初から諦めたくなかったのです。
私は大学卒業ではなく、デザイン専門学校の出身です。そこから経理の仕事に携わり、税理士事務所で経験を積み、勉強も続けてきました。
華やかな経歴ではないかもしれませんが、自分には積み重ねてきた経験がある。その経験を武器に、新しい世界で挑戦してみたいと思いました。
もちろん、周囲からどう見られるのだろうという気持ちがなかったわけではありません。50代で転職することに、不安がまったくなかったと言えば嘘になります。
それでも、現実を受け止めた上で、自分なりに一歩を踏み出してみようと思いました。
退職は終わりではなく、新しいスタートだった
現在は、建設関係の会社で経理の仕事をしています。
業界が変われば、使うシステムも仕事の進め方も変わります。特に個別原価計算など、これまで経験してこなかった分野は新鮮で、学ぶことの多い毎日です。
最初に担当した仕訳について、「ミスはありません」と言っていただけたときは、とても嬉しく感じました。これまで積み重ねてきた経験が、新しい職場でも役に立つのだと少し自信を持つことができました。
さらに、仕事に役立てたいと思い、建設業経理士の勉強も始めました。新しい知識を身につけることは大変ですが、それ以上に新しい世界が広がっていく楽しさを感じています。
53歳でも、新しい環境に飛び込めば、新しい学びや出会いがあります。
まだ転職して間もなく、これから壁にぶつかることもあるでしょう。だから、「転職して正解だった」と言い切るつもりはありません。
それでも、自分なりに考え、勇気を出して一歩を踏み出したことは良かったと思っています。
私は今も、まだ道の途中です。











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